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Special Articles(Epilepsy)

②FIRES(febrile infection-related epilepsy syndrome):治療を中心に

佐久間啓

Epilepsy Vol.15 No.2, 17-21, 2021

Febrile infection-related epilepsy syndrome(FIRES)は難治頻回部分発作重積型急性脳炎と同義であり,急性発症する難治なけいれん重積により特徴付けられる病態である1-4).2018年に米国を中心とするグループよりconsensus definitionが提唱され5, 6),現在これらの定義が広く用いられている.このなかでFIRESはnew-onset refractory status epilepticus(NORSE)の一部とされ,NORSEのなかで先行する(2日~2週間以内)熱性疾患を伴うものと位置付けられている.NORSEとは,けいれん性疾患や他の神経疾患の既往がない患者が,急性に薬剤不応性のけいれん重積を発症し,脳の器質的異常や中毒性・代謝性疾患が否定された状態とされ,疾患概念ではなく臨床的表現型であると明記されている5, 6).この定義はNORSE/FIRESの早期診断を可能にするという点で臨床的に有用であるが,自己免疫性脳炎をはじめとする既知の疾患概念を含むものであることから,従来の疾患概念と一致しない点が問題となる.そこで詳細な検索を行っても原因が特定されない症例に対してcrypto-genic NORSE/FIRESという用語が用いられるようになった7).Cryptogenic NORSE/FIRESの原因は不明であるが,臨床的特徴の均一性から単一疾患である可能性が高い.
臨床におけるFIRESの最大の問題点はその難治性である.遷延する難治なけいれん重積のため長期にわたる集中治療を余儀なくされ,大量の静脈麻酔薬による抗けいれん療法はさまざまな副作用を伴う.一部に後遺症なく回復する症例があるものの予後は一般に不良であり,後遺症として難治てんかんや知的発達症を高率に伴う4).これらの問題を解決するためには革新的な治療法の開発が必要であるが,FIRESの病態が少しずつ明らかにされるのに伴い,いくつかの新しい治療が試みられるようになった.本稿ではFIRESの治療を中心に最新の知見を紹介したい.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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