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Special Articles(Epilepsy)

①てんかんに対する植込型電気刺激療法の今後

川合謙介

Epilepsy Vol.15 No.2, 11-15, 2021

日本におけるてんかんに対する体内植込型電気刺激療法は,1990年代の迷走神経刺激療法(vagus nerve stimulation:VNS)の治験で幕を開けた.欧米での急速な普及に比べて,VNSの使用承認は大幅に遅れたが,2010年に保険診療としての使用が可能となった.それから10年以上が経過しVNSは徐々に浸透しつつあるが,その間に欧米では,頭蓋内植込型の電気刺激療法として脳深部刺激療法(deep brain stimulation:DBS),応答性神経刺激療法(responsive neurostimulation:RNS)の開発,臨床試験が進められ,使用承認されて普及しつつある(図1).
2000年以降,てんかん焦点切除術の有効な患者群が明確になってくると同時に,両側側頭葉てんかんや両側多焦点性てんかんなど,切除手術の適応とならない薬剤抵抗性の焦点性てんかんが,いわばとり残された状態となっている.また,MRI無病変の側頭葉外てんかんに対する切除手術の治療成績も満足できるものではない.切除範囲を広くとれば発作消失の可能性は高まるが,多くの場合は機能領域の存在によって制限される.
このようなてんかんでは,脳切除を行わない植込型電気刺激療法への期待が大きい.特に側頭葉てんかんに対する海馬刺激の報告では,小規模シリーズながらMRI正常海馬症例で,海馬硬化症例と同等かむしろ良好な発作抑制が得られており1),てんかん外科治療において焦点切除術と相補的な存在として期待されるところが大きい.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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