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治療とケア―症例から考える―

重症心身障害児・者の非けいれん性てんかん重積状態

吉永治美遠藤文香井上美智子

Epilepsy Vol.15 No.1, 29-31, 2021

年齢,性別
47歳,女性.
既往歴
脳性麻痺で小児期から長年重症心身障害児(者)病棟に入所している.月単位で焦点発作を認め複数の抗てんかん薬内服中であった.
診断・治療経過
X年X月X日,朝から眼球が上方へ偏位気味で,食事もとらず,意識混濁が続く状態であり,ビデオ脳波同時記録を行った.脳波開始直後から図1にみられる発作パターンが繰り返しみられ,これに一致して数秒眼球が上転したり,細かい瞬目がみられたり,また発作パターンの出現の合間にも意識混濁が持続しており,非けいれん性てんかん重積状態(non-convulsive status epilepticus:NCSE)に陥っていると判断した.ジアゼパム静注準備中に,30分の経過で自然にこの状態を脱却し,脳波上の発作パターンも消失した.
その後も週に一度程度の発作集積が,その都度脳波検査で確認できていたが,ラモトリギンを開始し増量したところ,徐々に発作はみられなくなった.数カ月後,再び同様のエピソードがみられるようになった.その際には,「脳波検査をしようか」という医療者の声かけに対してニヤッと笑ってうなずくなど,不可解な行動がみられ,意識混濁も演技的にみえることがあった.そこで脳波検査を行ったところ,全く発作時パターンは出現せず,psychogenic nonepileptic seizure(PNSE)であると判断した.同様の症状で周囲が騒ぐことをやめ,見守ったところ,次第に発作様のエピソードはみられなくなった.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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