てんかん患者における突然死のリスクは健常者の25倍前後であると報告されている.てんかん患者の死因として,転倒・転落・熱傷などの発作関連事故,溺水,自殺などに加え,原因不明の突然死の存在が古くから知られている1).Sudden unexpected death in epilepsy(SUDEP:てんかんにおける予期せぬ突然死)と呼ばれ,てんかん患者の死因の20%以上を占めると報告されている2)

SUDEPは,「良好な状況にあるてんかん患者に起きる,突然の,予期せぬ,外傷や溺水が原因ではない死」と定義されている3).死亡時の目撃情報はなくてもよい.また,発作に伴うものであることを示す証拠の有無は問われないが,てんかん重積による死を除くとされている.剖検により死因が明らかでないことが確認された場合にdefinite SUDEPと診断され,剖検が行われていない場合にはprobable SUDEPの診断にとどまる.

SUDEPの発生率は,地域ベースの疫学研究によると,小児で年間1,000人の患者あたり0.22人,成人で年間1,000人の患者あたり1.2人であるが4),てんかん外科治療の適応を検討するような薬剤抵抗性てんかんを対象とした調査では,年間1,000人の患者あたり4~10人程度まで上昇する5)