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FORUM

研究集会「てんかんの数学的研究」開催報告

行木孝夫津田一郎池田昭夫

Epilepsy Vol.14 No.2, 43-49, 2020

2019年6月11日午後から6月12日にかけて京都大学医学部附属病院第二臨床講堂で開催された研究集会「てんかんの数学的研究」について報告する.筆者らは新学術領域研究「オシロロジー」におけるてんかん脳波に関する数理的解析の共同研究を進める過程で医学と数理科学における相互理解が重要であると痛感し,数理科学側からのアプローチとして本研究集会の開催に至った.
本研究集会は京都大学数理解析研究所の共同利用事業として共同研究の枠組みで開催されたものである.京都大学数理解析研究所は国立大学共同利用施設として広く数学研究にかかわる共同利用事業を公募し,年間数十件の研究集会を開催している.2019年度は70件を超え,本研究集会はそのなかの一件として採択された.行木は研究代表者として開催の準備にあたり,てんかんにかかわる医学系研究と数理科学系研究の相互交流を深め,理解と共同研究を進めることを目的としてプログラムを作成した.京都大学大学院医学研究科てんかん・運動異常生理学講座の先生方,特に松橋眞生准教授の協力のもと,会場を京都大学医学部附属病院に設定して開催することができた(写真1).
本研究集会の目的は,特に数学と医学に関する共同研究を推進する立場から,臨床的な問題へ数学からアプローチする際の手法および心構えを議論することに置いた.参加者は延べ52名,医学系からの参加は34名,数理系からの参加は18名であった.なじみのないテーマにもかかわらず医学系から多くの参加者があり,なおかつ,数理系の講演者の周辺からの参加者も多く,開催した意義は十分にあったと考えている.プログラムは,https://www.math.sci.hokudai.ac.jp/~nami/20190611rims/から参照できる.てんかんに関する主要な話題として,広域周波数帯域記録脳波を基礎とする解析,異常な振動現象としての発作とモデル化を扱い,また,時系列解析に関する数理科学系の若手研究者から理論面と医学への応用に関する講演を設定した.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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