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治療とケア―症例から考える―

入浴時の欠神発作が難治な適齢期女性の治療

亀山茂樹

Epilepsy Vol.14 No.2, 25-27, 2020

初診時年齢
19歳,女性.ガソリンスタンド勤務で定時制高校生,未婚,左利き.
家族歴
特記すべきことなし.
既往歴
出生児体重:3,590gで異常なし,歩行開始は11カ月,熱性けいれん2回,4~5歳頃から数秒間の意識消失発作あったが医療機関を受診しなかった.
現病歴
16歳のとき,全身けいれんで職場から救急搬送された.
以後2回/年の全般強直間代けいれんがあり,持続は数分間.尿失禁を伴うことが多かった.
前医(脳神経内科)で脳波にて棘徐波複合を認めた.カルバマゼピン 200mg→400mgで治療開始されたが無効で,ラモトリギン 100mgに変更された.全身けいれん発作は18歳を最後に消失した.
意識を失う発作が毎日あることを主訴に,てんかんセンターに紹介された.
初診時
意識消失発作が毎日2~3回ある.入浴時には毎日必ず意識消失発作があり,発作の持続時間がやや長いため自覚しやすい.ミオクロニーは過去にも1回も認めていない.
検査
ビデオ脳波記録:2.5Hzの多棘波徐波複合が両側前頭葉優位に頻回に記録され,過呼吸負荷で活性化された.ほかに多棘波も認めた.持続は3~4秒(図1は過呼吸負荷時に記録されたもの).睡眠時記録では異常波の出現頻度がきわめて減少した.ビデオで脳波異常に対応した欠神発作を確認した.
MRI:異常所見なし.
診断
特発性全般てんかん(若年欠神てんかん).
治療
妊娠適齢期の難治(ラモトリギンやバルプロ酸ナトリウムが無効)な若年欠神てんかん患者に対して,催奇形性の問題を考慮しながらの薬剤選択を迫られ,発作の完全抑制を目指した.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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