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てんかんからみる人物の横顔~異論異説のてんかん史~

第18回 ヘラクレスの狂気はてんかん発作だったのか

松浦雅人

Epilepsy Vol.9 No.2, 51-55, 2015

ヘラクレスはギリシア神話の中の最強の英雄で,神と人の間の子として生まれた.豪快で不屈の勇気をもち,一本気の正直者であるが,短気で好色という面ももつ.古代ギリシアや古代ローマにおいて広く信仰され,ヘラクレスが繰り広げた壮大な冒険譚は,現在なお多くの人々の想像力を刺激し続けている.

「はじめに」紀元前5世紀末に編纂されたといわれる「ヒポクラテス全集」の「婦人病第1巻」には子宮の転位が論じられ,その中に「子宮が肝臓と季肋部に近くなると窒息がもたらされ,その婦人は白眼になって冷たくなり(土色になるものもある),歯を噛み,よだれが口中にたまり,ヘラクレス病に襲われた人に似てくる」1)という記載がある.「ヘラクレス病」が何を意味するかについては議論があるが,19世紀に「ヒポクラテス全集」を編纂したリトレも,日本語に翻訳した岸本良彦も,このヘラクレス病をてんかんと訳出している2).

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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