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てんかんからみる人物の横顔~異論異説のてんかん史~

第17回 グレアム・グリーンとてんかんの誤診

松浦雅人

Epilepsy Vol.9 No.1, 49-54, 2015

グリーンは,「小説家というものは自分自身の精神と感情をひたすら凝視して,しかるのちに人間一般を研究するという点において司祭と共通するものをもっているのです」と述べている.
「はじめに」グレアム・グリーン(写真)は20世紀を代表する英国のカトリック作家である.スパイ経験がある作家としても知られ,政治的に混乱した世界を駆け巡り,大英帝国が崩壊していく過程を生きた(表1)1).自らの作品をエンターテイメント(thrillers)と,文学作品(novels)に分類したが,両者に本質的な違いはない.悪の支配する暗い世界を徹底して描き,逆説的に神の存在を示そうとしたといわれる.目に見える世界をリアルに描くことこそ小説であるとの信念で,人間の内面を外から見える行為として描写した.その作品は大半が映画化あるいはテレビドラマ化されており,死後もなお次々と映画化されている.長年ノーベル文学賞の有力候補と言われ,死去の際には受賞しなかったことが話題となった.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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