症例提示
発端者現病歴
27歳の右利き女性(図1:IV-5).10 歳時,睡眠中に全身けいれん発作で発症した.その後,全身けいれん発作が約半年に1回程度みられたが,カルバマゼピンにて良好なコントロールが得られていた.しかし,20歳の妊娠後期より,ほぼ毎日の前兆,毎週の複雑部分発作,1~2カ月ごとの全般化強直間代けいれんが出現し,カルバマゼピン,ゾニサミド,クロナゼパムなどの多剤併用治療が試みられたが,コントロール不良である.聴覚性前兆の特徴としては,高音が徐々に大きくなり,その後しばしば大発作を伴う.また,突然会話が理解できなくなる発作性感覚性失語を呈することがある.視覚性前兆は,チカチカした光と変形視が認められた.患者は,既視や未視感を訴え,自律神経系の前兆(動悸,冷汗,顔面蒼白)を伴っていた.これらの前兆は,さまざまな組み合わせ,または単独で現れ,しばしばパニック発作様の症状(突然の恐怖と不安)が出現した.さらに患者は,上記の前兆とは別に,ときには「子どもを窓から落としてしまえ」と命令する幻聴があると語った.
全文記事
治療とケア―症例から考える―
ADLTE 聴覚性前兆とパニック発作様症状を認めたてんかん家系
掲載誌
Epilepsy
Vol.5 No.2 36-39,
2011
著者名
川又 純
/
池田昭夫
記事体裁
連載
/
症例
/
全文記事
疾患領域
神経疾患
診療科目
脳神経外科
/
神経内科
/
精神科
媒体
Epilepsy
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。