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治療とケア―症例から考える―

ADLTE 聴覚性前兆とパニック発作様症状を認めたてんかん家系

川又純池田昭夫

Epilepsy Vol.5 No.2, 36-39, 2011

症例提示
発端者現病歴
 27歳の右利き女性(図1:IV-5).10 歳時,睡眠中に全身けいれん発作で発症した.その後,全身けいれん発作が約半年に1回程度みられたが,カルバマゼピンにて良好なコントロールが得られていた.しかし,20歳の妊娠後期より,ほぼ毎日の前兆,毎週の複雑部分発作,1~2カ月ごとの全般化強直間代けいれんが出現し,カルバマゼピン,ゾニサミド,クロナゼパムなどの多剤併用治療が試みられたが,コントロール不良である.聴覚性前兆の特徴としては,高音が徐々に大きくなり,その後しばしば大発作を伴う.また,突然会話が理解できなくなる発作性感覚性失語を呈することがある.視覚性前兆は,チカチカした光と変形視が認められた.患者は,既視や未視感を訴え,自律神経系の前兆(動悸,冷汗,顔面蒼白)を伴っていた.これらの前兆は,さまざまな組み合わせ,または単独で現れ,しばしばパニック発作様の症状(突然の恐怖と不安)が出現した.さらに患者は,上記の前兆とは別に,ときには「子どもを窓から落としてしまえ」と命令する幻聴があると語った.

症例提示(続き)

家族歴

 図1に示すとおり常染色体優性遺伝と思われる5世代にわたるてんかん発作,または精神症状の家族歴を有する.

既往歴

 周産期に異常なし.成長発達歴に異常なし.熱性けいれんの既往なし.

身体所見

 一般身体所見に異常なし.神経学的所見に特記すべきことなし.神経心理学的検査では,WAIS-R言語性IQ57,動作性IQ61,全検査IQ55,WMS-R言語性記憶71,視覚性記憶87,一般的記憶71,注意/集中力68,遅延再生60であった.

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