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Special Articles(Epilepsy)

頭痛とてんかん

平田幸一川上俊幸桜井邦彦

Epilepsy Vol.5 No.2, 17-22, 2011

はじめに
 てんかんと片頭痛は,最も一般的な神経障害のひとつであるが,てんかんと片頭痛の関連は広く知られている.片頭痛とてんかんは,両者とも発作を伴う慢性機能性疾患である1).
 さらに,頭痛はてんかん発作の予兆または前駆症状である場合がある.また,片頭痛とてんかんは共存する.そして,ときによく似た臨床像を呈したり,病態生理学的機序を共有する.さらに,片頭痛とてんかん発作が同時に生じる場合があり,これはmigralepsyと称される.

はじめに(続き)

 てんかん性頭痛は,厳密には後述するてんかん発作としての頭痛(てんかん性片頭痛)のことを指すが,実際の臨床ではもう少し広い意味で使用される.
 片頭痛の罹患率は世界的に成人のおよそ12%であり,わが国でも8.4%である2,3).てんかんの世界平均生涯の罹患率は,0.15~5.7%3)とされ,わが国でもおおむね1.5%とされている.発展途上国ではさらに多いとされる4,5).
 13の研究をレビューした結果,てんかんと片頭痛の双方向性共存が証明されている6).さらにOttmanとLiptonは,片頭痛がてんかん患者対てんかん以外の患者で2.4倍であることを報告している7).その双方向性関連(すなわち,てんかんは片頭痛のリスクを増す.そして,片頭痛はてんかんのリスクを増す)のため,両者は生物学的素因を共有すると想定される8).

1 臨床症状

 てんかん,または片頭痛は,どちらかが先行して出現することも,同時に生じることもある9).そして,両者に共通のいくつかの臨床的側面がある.前述したが,第一に,両者は発作を伴う機能的慢性疾患である.電気生理学的には,発作間欠期においてもてんかん性の脳波(electroencephalogram;EEG)異常がみられることによって,片頭痛10)では眼輪筋反射(blink reflex)で抑制欠如を示すことによって,機能的発作の病態生理学的な背景が論じられている.また,両者とも,しばしば前駆症状あるいは前兆のあとに発作自体が生ずる特徴をもつ.
 さらに,臨床的に前兆の存在,光過敏,音過敏や臭い過敏11)および,身体活動による悪化は,片頭痛のみの患者よりてんかんも有する患者でより頻度が高いと報告される12).これらの報告は,てんかんと片頭痛が共通の病態機序に立脚することをさらに明確にさせる.表1に片頭痛発作とてんかん発作の臨床類似点を示す.

 てんかん性頭痛という語は曖昧な面があり,てんかん発作としての頭痛と,てんかんに付随する頭痛(てんかん発作後の頭痛,片頭痛に誘発されるてんかん)とは区別して考えるべきであるが,明確に区別できないこともある.国際頭痛分類第2版(International Classification of Headache Disorders,2nd edition;ICHD-Ⅱ)13)では,片頭痛に伴うてんかんを,てんかんに関連する頭痛(peri-ictal headaches)として,次の3種類の病態が記載されている.

 ①頭痛がてんかん発作そのものであるもの(ICHD-Ⅱ 7.6.1:てんかん性片頭痛)

 ②てんかん発作後に頭痛が起きるもの(ICHD-Ⅱ7.6.2:てんかん発作後頭痛)

 ③片頭痛の経過中にてんかん発作が起きるもの(ICHD-Ⅱ 1.5.5:片頭痛により誘発されるけいれん(表2))

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