Special Articles(Epilepsy)
1.高齢者とてんかん
Epilepsy Vol.2 No.2, 29-33, 2008
「はじめに」てんかん・てんかん症候群は最も頻度の高い神経疾患のひとつであり, 新生児から高齢者のどの年齢でも発症しうる. しかし最近までは, 一般にてんかんは乳幼児・小児期の疾患であり, 成人, 高齢者発症はまれであると考えられてきた. わが国でも, 2,000例の剖検を含む60歳以上の2,625名の患者でけいれんの有無と脳波を検討した1981年の研究では, てんかんの頻度は0.076%と報告されている1). また, 25歳以上に発症するてんかんは症候性病因によるものが多く, 局在関連性てんかんがほとんどであり, 成人発症てんかんの基礎疾患の検索, 脳波などに関する報告は多い. Hauserらが, 1975年に50歳以上でてんかん発症率がきわめて高いことを報告し2), 以来いくつかの同様な疫学的研究が欧州を含めて報告され, さらに最近の長寿社会の到来に相まって高齢者てんかんは無視できない疾患となってきており, その管理面でも若年者のそれとは発作型, 病因, 薬物動態の違いなどを考慮する必要があることから特別に取り上げられることが多く, これらの論点を総括的に概説する.
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