Dry Eye WorkshopⅡ(DEWSⅡ)の報告1)にあるように,ドライアイは現在,涙液減少型と蒸発亢進型の2つのサブタイプに分けられ,蒸発亢進型の原因疾患としてマイボーム腺機能不全(meibomian gland dysfunction:MGD)が重要といわれている。しかし,MGDに伴うマイボーム腺からの脂質(meibum)の分泌低下が果たして蒸発亢進型ドライアイを生じるのか否かということも,まだ解決をみない問題である。なぜならヒトのmeibumには,水分の蒸発抑制作用が予想されたほどにはないのではないかという報告が散見されるからである2)3)。そのような中で,臨床的には「蒸発亢進型」以上に重要ではないかと考えられるドライアイのサブタイプが,「水濡れ性低下型」である4)5)。このサブタイプは近年,その重要性が認識されるようになった涙液層破壊時間(tear film breakup time:BUT)短縮型ドライアイ6)7)を構成するドライアイの一型と考えられ,今後ますますその重要性が増してくるものと思われる。筆者らのドライアイ外来の症例をみても,水濡れ性低下型ドライアイがドライアイの難治例を少なからず占めることから,日常診療においても思うように治療効果のでないドライアイに水濡れ性低下型ドライアイが含まれている可能性がある。一方,海外においては,このドライアイはほとんど認知されていない可能性もある。そこで本稿では,水濡れ性低下型ドライアイの病態や表現型を中心にまとめてみたい。
総説
水濡れ性低下型ドライアイ
掲載誌
Frontiers in Dry Eye
Vol.13 No.2 15-19,
2018
著者名
横井 則彦
記事体裁
抄録
疾患領域
眼疾患
診療科目
眼科
媒体
Frontiers in Dry Eye
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。