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ドライアイリサーチアワード

喫煙による涙液中ムチン濃度および結膜杯細胞密度への影響

内野裕一

Frontiers in Dry Eye Vol.13 No.1, 32-33, 2018

全身の粘膜は,粘液とともにその湿潤性を保っており,眼表面では涙液が粘液としての役割を果たしている。そして最近の研究から,涙液が眼表面の湿潤性を維持するためにはムチンといわれるタンパクが重要であることがわかってきた1)。ムチンは分子量が250kD以上の大きな高分子糖タンパクであり,分子量の80%はコアタンパクに付着している多数の糖鎖からなる。ムチンのコアタンパク同士や糖鎖同士がmeshworkを形成し,その格子構造の中に水分子を取り込むことで保水効果を維持している。またムチンはその構造から膜型ムチンと分泌型ムチンの2種類に分けられる。膜型ムチンは細胞膜に貫通して細胞表面に発現しているものであり,分泌型ムチンは結膜杯細胞(goblet cells)で生成・貯留された後に涙液中に分泌される。特に眼表面で重要な分泌型ムチンはMUC5ACであり,ドライアイ患者では涙液中MUC5ACタンパク濃度が有意に低下することはすでに確認されている2)。またドライアイのリスク因子であるvisual display terminal(VDT)作業が長いほど涙液中MUC5ACタンパク濃度が低下することもわかってきた。今回受賞させていただいた論文3)では,ドライアイのもう1つのリスク因子として長年考えられてきた「喫煙」が,ムチン減少に影響を与える可能性がドライアイ疫学調査である大阪スタディより示唆されたので,本稿でその要点についてご報告したいと思う。
「KEY WORDS」ムチン,MUC5AC,結膜杯細胞,大阪スタディ,喫煙

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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