正常な眼表面は,視機能の安定性や眼表面のバリア機能を維持するうえで重要である。パソコンなどのディスプレイ(VDT)を使うことはドライアイの外因性因子であることが2007年のDEWS reportで示されている。しかしながら,VDTの使用によるドライアイの発症機序はいまだ明らかにされていない。今回,著者らは種々の抗酸化酵素の誘導を担う転写因子であるnuclear factor erythroid 2-related factor-2(Nrf2)ノックアウト[Nrf2(-/-)]マウスを用いて,環境ストレス(VDTストレスを模倣)負荷による眼表面および涙液機能への影響を検討した。30週齢のC57/B6 wild type(wild type)マウス9匹,および30週齢のNrf2(-/-)マウス9匹を対象とした。これらのマウスに,涙液機能検査として綿糸法による涙液分泌量,涙液層破壊時間,眼表面障害の評価としてフルオレセイン染色およびローズベンガル染色スコアをストレス単回負荷前後に測定した。ストレス負荷として,マウスを拘束し,前方から秒速2mの風を与え続ける環境ストレスを4時間実施した(図)。