基本手技シリーズ
リッドハイジーン―患者さんへの教育・説明を含めて―
掲載誌
Frontiers in Dry Eye
Vol.7 No.1 56-61,
2012
著者名
川島 素子
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
Frontiers in Dry Eye
「治療の対象と目的」 1. 治療対象:マイボーム腺機能不全 マイボーム腺(瞼板腺)は, 上下の眼瞼縁に数十個の開口部をもつ脂腺である. マイボーム腺から分泌される脂質(meibum)は, 眼瞼縁や涙液最表層に分布して, 涙液蒸発の抑制, 涙液安定性の維持, 眼瞼縁における涙液の皮膚への流出抑制などの役割を果たしている. マイボーム腺の機能異常をきたした状態が「マイボーム腺機能不全」である(表1)1). マイボーム腺機能不全では, 涙液の水成分の分泌は保たれ, ドライアイに典型的な角膜上皮障害も少ないために比較的見逃されがちであるが, 非常に高頻度にみられる疾患である. マイボーム腺機能不全の症状は, 充血, 乾燥感, 「しょぼしょぼ, ゴロゴロ」などの異物感, 「目がしみる, 熱い」などの灼熱感, 掻痒感や一時的な霧視など多様で, 眼表面の所見が軽度でも訴えは強く頑固であることが多い. マイボーム腺に細菌が感染し, その結果によって変性した脂質は非常に刺激性の強いものになる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。