がんは高齢者で多発するが,食道扁平上皮がんは,加齢のみならず,地域,人種,飲酒や喫煙の嗜好などの生活習慣とも深く関連しており,慢性的な発がん物質の曝露が発がんの要因となるフィールドがん化を示すがんである。正常食道上皮では,加齢とともに遺伝子変異が蓄積し,変異を有する細胞の割合,すなわちクローンサイズも大きくなる。さらに,高度の飲酒・喫煙により,加速的に遺伝子変異が蓄積する。加齢により正常食道上皮で獲得されるNOTCH1変異をはじめとした遺伝子変異は,食道がんでも認められるが,その頻度はがんよりも高く,正常食道上皮と食道がんのクローン性増殖では,共通したメカニズムが存在する一方で,それぞれに固有のメカニズムの存在があることが示唆された。
CURRENT TOPICS 特集 食道がん研究の最前線
2 食道扁平上皮がんの発生機序
掲載誌
THE GI FOREFRONT
Vol.15 No.1 22-27,
2019
著者名
横山顕礼
/
大橋真也
/
武藤 学
記事体裁
特集
/
抄録
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
消化器内科
/
腫瘍内科
媒体
THE GI FOREFRONT
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。