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CURRENT TOPICS 特集 3rd GAST SUMMIT JAPAN学術講演会ハイライト

ワークショップ:わが国から胃癌を撲滅するための具体策 2 検診からH.pylori除菌治療へ

安田貢

THE GI FOREFRONT Vol.14 No.2, 24-25, 2019

一般人がH. pyloriについてどの程度認知しているかについてのアンケート調査がいくつかある。それらをまとめると,約80%がH. pyloriの存在を認知し,約60~70%はそれが胃癌の原因とわかっているようである。ところが,実際にH. pyloriの感染検査を受けている人は全体の約20%にすぎない。たまたま無症状ということもあり,「自分の胃は大丈夫」という根拠のない自信を有する人こそが危険であり,そのような層にこそ,H. pylori検査が必要なのである。
人間ドックの強みは,検診実施者が任意の検査を提供できる点にある。当センターでは「ピロリ感染胃炎」が保険病名に収載された翌年度(平成25年度)より,ドック基本項目に「H. pylori抗体価」と「ペプシノゲンI・II・I/II比」を組み入れた。これらは,内視鏡検査またはX線検査からH. pylori感染状態(現感染・既感染・未感染)を判定する際の補助検査として,非常に有用である。このように,ドック受診者全員のH. pylori感染状態を診断するということが,すべての現感染者を除菌につなげていく最も確実な方法ではないだろうか。平成25年度以降のドック受診者,延べ3万人ほどのH. pylori感染状態の推移を調査したところ,現感染者の数(割合)は著減し,既感染者の増加が認められた。われわれの取り組みによって除菌治療数が増加した結果と考えられた。
ドックでH. pylori感染状態の判定を実施することで,内視鏡医の診断能力が高まるという効果もある。全症例で答えが用意されているわけであるから,「びまん性発赤」の有無やX線画像における背景粘膜などの読影能力が向上することになる。そうすれば,H. pylori検査を実施していない通常の胃検査(対策型検診も含む)においても感染状態の診断ができるようになり,自信をもって除菌治療を勧めることができるようになる。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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