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座談会(Round Table Discussion)

H. pylori陰性胃癌の現状

上村直実伊藤公訓藤崎順子下田忠和八尾隆史David Y. GrahamKwong Ming Fock

THE GI FOREFRONT Vol.11 No.1, 43-58, 2015

「H. pylori陰性胃癌の定義と疫学」
上村:胃癌に関してはH. pylori感染による炎症がベースにある点でほぼコンセンサスが得られていますが,近年はH. pylori感染率の漸減傾向に加えて除菌療法が進み,10~20年後にはH. pylori陰性時代を迎えることが推測されます。今後はH. pylori陰性あるいは炎症のない胃粘膜にどのような癌が発生するのか,どのような点に留意すべきかが問題になってくると思われることから,今回は「H. pylori陰性胃癌の現状」について座談会を行います。まずはH. pylori陰性胃癌の定義および疫学について,伊藤先生にご説明いただきます。
伊藤:まず,H. pylori陰性胃癌あるいは未感染胃粘膜の定義については,「検鏡法・培養法・尿素呼気試験・抗体法などの2つ以上の感染診断法においてH. pylori陰性」であることが基本であり,これに「内視鏡的萎縮を認めないこと」および「組織学的胃炎を認めないこと」といった条件が必要です。例えば,胃癌全体の症例からみれば抗体陰性例は約20%,ペプシノゲンと組み合わせたABC分類のA群にしても約10%を占めており,感染診断あるいは血清診断だけでH. pylori陰性を定義することには問題があります。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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