<< 一覧に戻る

特集 バレット食道研究の最前線

4 バレット食道と腺癌の関わり(前癌病変としてのバレット食道)

遠藤高夫菊地剛史

THE GI FOREFRONT Vol.11 No.1, 23-26, 2015

人口の高齢化や2012年に始まるH. pylori除菌の慢性胃炎への適応拡大・酸分泌抑制剤の開発普及により上部消化管疾患構成の変化が著明となってきている。消化性潰瘍は激減し,胃食道逆流症(GERD)がトップに躍り出た。それに伴い,従来稀とされていたバレット食道に注目が集まりつつある。本稿では,バレット食道と腺癌発生について述べる。
「はじめに」バレット食道の本質は化生(Metaplasia)である。化生とは,本来あるべき組織が他の組織に置き換わってしまうことである。つまり食道の重層扁平上皮(胎児期には円柱上皮)が胃や腸の上皮(腺上皮・円柱上皮)に変わってしまうことである。最も多くみられるのはH. pylori感染による胃の腸上皮化生である。化生した粘膜は不安定でしばしば癌が発生する。バレット食道も好発癌状態で,前癌病変とされ,癌のサーベイランスが推奨されている。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る