特集 バレット食道研究の最前線
2 日本と欧米におけるバレット食道の内視鏡診断の違い
THE GI FOREFRONT Vol.11 No.1, 15-18, 2015
バレット食道の内視鏡診断においてEGJの同定が最も重要であるが,日本では柵状血管下端,欧米では胃粘膜ひだ上縁をEGJのlandmarkとすることが一般的である。さらに,観察方法や胃粘膜萎縮・GERDを含めた患者背景の違いが要因となり,双方の診断基準には相違がみられる。日本では深吸気で観察を行い,H. pylori感染に伴う慢性萎縮性胃炎患者が多いため胃粘膜ひだ上縁が確認しづらく,炎症の乏しいSSBE症例が多い。一方,欧米では鎮静下で胃内を脱気した状態での観察を行い,炎症を伴うLSBE症例の割合が多い。今後は統一された診断基準のもとでバレット食道に関する諸問題が検討されるべきである。
「はじめに」日本におけるバレット粘膜の定義は食道癌取扱い規約1)で「胃から連続性に食道に伸びる円柱上皮で,腸上皮化生の有無は問わない」とされ,本来重層扁平上皮で被覆された食道粘膜が胃粘膜から連続した円柱上皮粘膜で置換された状態であり,バレット食道はこれらの粘膜が存在する食道と定義される。
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