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特集 バレット食道研究の最前線

1 Barrett's食道およびBarrett's食道癌は増加しているのか

小山恒男高橋亜紀子

THE GI FOREFRONT Vol.11 No.1, 12-14, 2015

1990年には米国の白人男性においても扁平上皮癌の頻度はBarrett's食道癌(EAC)の3倍であった。しかし,その後20年間にEACの頻度は約5倍に増加し,1990年には両者の頻度は逆転した。一方,黒人男性におけるEACの頻度は微増であり,人種による差が大きい。わが国におけるEACの頻度を,日本食道学会が施行している全国登録を元に検討すると1999年の2.1%から2007年には5.3%にまで漸増したに過ぎず,EACの増加速度は白人男性と比較して緩徐であった。
「はじめに」Barrett's食道(癌)は増加しているのか?という疑問を解くためには,Barrett's食道の定義を十分に理解することが重要である。なぜならば,Barrett's食道の定義は国によって異なるからである。日本と英国ではBarrett's食道を「円柱上皮で被われた食道」と定義しており,腸上皮化生の有無を問わない。しかし,米国では腸上皮化生が必須とされており,生検を採取し,腸上皮化生を証明しなければBarrett's食道と診断することができない。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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