GI-Metabolism Forum
第5回GI-Metabolism Forum 演題2 TGR agonist/DPP IV阻害薬の腸炎抑制効果
THE GI FOREFRONT Vol.10 No.2, 80, 2014
「BTAとDPP-4阻害薬の併用投与により小腸潰瘍の治癒が促進」小腸の内分泌L細胞ではG protein-coupled receptor(GPCRs:G蛋白質共役受容体)が発現しており,GPCRsが活性化されるとGLP-2分泌が促進され,胃粘膜保護や潰瘍治癒が起こることがこれまでにわかっている。GPCRsのうちTGR5のmRNAは小腸や肝臓だけでなく結腸にも発現しており,我々はラットのインドメタシン小腸潰瘍モデルとマウスのDSS腸炎モデルを用いてTGR5受容体活性化およびDPP-4阻害薬が内因性GLP-2を介して消化管粘膜保護に作用することを検証した。ラットにインドメタシンを8mg/kgで2日間投与の後24時間後に小腸潰瘍を形成し,Normal群,Disease群,TGR5アゴニストであるbetulinic acid(BTA)のlow dose群,BTA high dose群,BTA high dose+DPP-4(シタグリプチン)群,さらにBTA high dose+DPP-4+GLP-2(3-33)群の計6群で形成された潰瘍の長さを評価に用いてラットのインドメタシン小腸潰瘍におけるDPP-4阻害薬とTGR5アゴニストにおける潰瘍治癒効果を検証したところ,シタグリプチンを併用投与した群において有意に潰瘍治癒の促進がみられた(図1)。
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