北海道の国民健康保険ならびに後期高齢者医療制度の電子レセプトを活用し,H.pylori感染慢性胃炎に対する除菌の保険適用拡大前後の診療内容の変化を検討した。保険適用拡大前に比較し,尿素呼気試験の件数は約2.75倍,一次除菌は2.65倍の伸びを示すのに対し,胃・十二指腸内視鏡検査の検査数はほとんど変化がなかった。胃・十二指腸内視鏡検査を施行している医療機関数に比し,除菌を行っているのは2/3程度であり,まだまだ拡大余地がありそうだ。
「はじめに」2013年2月のH.pylori感染慢性胃炎に対する除菌の保険適用拡大により,検査数ならびに除菌数が急速に増加している。本稿では北海道の国民健康保険(以下,国保),後期高齢者医療制度(以下,後期)の電子レセプトを用いて,保険適用拡大前後の診療状況の変化を概観する。