特集 胃炎に除菌の適応拡大が通ったあとの胃癌撲滅計画―第18回JAPANGAST Study Groupハイライト―
電子レセプトからみた除菌診断と治療の動向
THE GI FOREFRONT Vol.9 No.2, 16-18, 2014
「はじめに」2013年2月にH.pylori感染胃炎に対する除菌の保険適応拡大があり, わが国は国家的総除菌に向けて大きく舵を切った. では, そのことによる新親胃癌の発生の抑制, ひいては胃癌診療に関する総医療費低減をどのようにモニターできるだろうか. 現状では新規の胃癌発生患者数も胃癌診療にかかわる総医療費も, 粗い推計の域を出ないのが実情である. 国内で行われている胃癌手術の件数, 胃癌にかかわる化学療法の件数も正確には捉えられていない. 今後, 癌登録の義務化が予定されており, 新親の胃癌発生数は捉えることができるようになるであろうが, 胃癌の診療にかかわる状況はいまだに不明である. また, H.pyloriの除菌に関する診療状況やガイドラインの遵守状況も確実には捉えられていない. わが国は医療提供については世界に冠たるものがあるが, 実態の把握は十分ではなかった. 一方, 医療機関からの審査支払に対する電子レセプトの普及は進み, 件数ベースでは病院は99%以上, 診療所も95%を越え, 電子レセプトを分析することでわが国の診療状況をつぶさにみて取ることができるようになった.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。