TOPICS OF GI 消化器疾患のトピックス
第16回 消化管の炎症発癌とREGファミリー蛋白
掲載誌
THE GI FOREFRONT
Vol.8 No.2 77-80,
2012
著者名
福井広一
記事体裁
抄録
疾患領域
その他
診療科目
その他
媒体
THE GI FOREFRONT
「はじめに」 Regenerating gene(REG)は, ラットの再生膵ランゲルハンス島より単離された組織再生関連遺伝子である1). 筆者らは消化管組織におけるREG蛋白の機能解析を世界に先駆けて行い, REG蛋白がH.pylori感染胃炎や潰瘍性大腸炎などの消化管炎症性疾患で強発現すること2)3), さらには消化粘膜の再生過程で増殖因子または抗アポトーシス因子として役割を果すことを明らかにした4)5). 周知の通り, 慢性炎症は発癌の危険因子であるが, 最近, 異なる複数グループのマイクロアレイ解析の結果, REGファミリー遺伝子が萎縮性胃炎や潰瘍性大腸炎組織で最も強発現する遺伝子として同定されている6)-8). また, 筆者はREGファミリー遺伝子が炎症性疾患のみならず胃癌や潰瘍性大腸炎関連癌でも強発現することを報告しているが9)10)(図1), 興味深いことに最近, 新たなREGファミリー蛋白が抗癌剤耐性大腸癌細胞から同定された11).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。