座談会(Round Table Discussion)
IBSの本態を考える
THE GI FOREFRONT Vol.8 No.2, 47-62, 2012
「1 IBSの疫学-疾患頻度と実態」 藤本 今回は, 下部消化管の機能性疾患の1つである過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)について, 「IBSの本態を考える」をテーマに座談会を行います. 最初にIBSの疫学特に疾患頻度についてお伺いします. 福土 先進文明国におけるIBSの有病率は10~20%とされ, 我々の調査でも14.2%というデータがあります. 各スタディによって若干数値が異なりますが, ほぼ15%前後と考えてよいと思われます. 藤本 IBSの有病率は, 地域によって差があるものなのでしょうか? 福田 私は西宮市(兵庫県)と篠山市(兵庫県)の施設で総合診療を受け持っていますが, 下部消化管の不定愁訴で受診されるのは西宮で約10%, 篠山で5%程度であり, 相対的に都会の頻度が高く地方では低い傾向にあると思います. 藤本 春間先生は, IBSの有病率についてどのようにお考えでしょうか? 春間 平成22年国民生活基礎調査(厚生労働省)によれば, 日本人の下痢頻度は全体で2.0~2.5%程度であり, 男性の方が女性に比べて多い傾向があります.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。