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特集 わが国から胃癌を撲滅するための新しい試み―第17回JAPANGAST Study Groupハイライト―

Workshop 胃癌への医師の説明責任と訴訟の可能性について

斎藤隆広

THE GI FOREFRONT Vol.8 No.2, 37-39, 2012

胃癌の治療と予防は近年急速に進歩したが, 一体そのどこまでを患者に説明すべきであり, どの部分の説明を怠ると, 法的責任を追及されるのであろうか. 胃の不快感を訴えて来院した患者に, 除菌という選択肢を説明することなく胃の不快感を除去するための対症療法に終始したところ, 数年後に胃癌が発見されるも手の施しようがなく死亡した, という事例を前提として, 近年の裁判例を踏まえたうえで検討を試みる. 「1 医療裁判と説明義務」 医療訴訟における患者の最大の攻撃手法は, 説明義務違反である. 診断の過誤や手技の不手際を, 患者の側から追及することは難しい. 医師が「医師の裁量の範囲のことであり過失とまではいえない」という意見を具申すれば, 裁判所はこれを無視できないであろう. そして多くの場合, 医療機関側はこのような意見書を用意する. そこで患者側は, 事前に十分な説明を受けることができず治療の選択肢を奪われた, すなわち, 自己決定権を侵害された, と主張する.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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