特集 わが国から胃癌を撲滅するための新しい試み―第17回JAPANGAST Study Groupハイライト―
Workshop 若年者除菌による胃癌予防の試み a)小児のHelicobacter pylori感染の現状と対策
THE GI FOREFRONT Vol.8 No.2, 22-24, 2012
わが国の小児のHelicobacter pylori(H.pylori)感染率は5%以下であり, 5歳までが主な感染時期であることが明らかになっている. 感染源は成人家族が主で, 小児同士の感染は稀と考えられる. 小児への感染防止として, 第1子出生前に家族内の感染者をすべて除菌する方法がある. 感染小児の消化性潰瘍, 胃癌などのH.pyloriによる将来の疾患の予防のためには, 各臓器の機能が安定してくる中学生くらいまで待って除菌する方法が考えられる. 「はじめに」 H.pylori感染者は, 一度も感染したことのない未感染者に比べ, 20倍以上胃癌のリスクが高い1). 感染者が成人で除菌治療を受けると, 胃癌リスクが3分の1程度に低下する2). この菌の主な感染時期は5歳までで, それ以上での感染は稀である3,4). これらの知見から, 胃癌対策としては, (1)小児期でのH.pyloriの感染防止と, (2)成人でのH.pylori感染既往者の胃癌死防止の2つが考えられている.
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