特集 わが国から胃癌を撲滅するための新しい試み―第17回JAPANGAST Study Groupハイライト―
Workshop 胃の前癌状態および前癌病変に対する欧州のガイドライン
THE GI FOREFRONT Vol.8 No.2, 18-21, 2012
日本では, 内視鏡検査時に萎縮性胃炎や腸上皮化生を診断するか, あるいは, ペプシノゲン法とピロリ感染の組み合わせにより血清診断で胃癌のリスクを決め, リスク群では1年に1回の内視鏡検査で経過観察されることが多くなっている. 最近, 欧州を中心として胃の前癌状態および前癌病変に対するガイドラインが作成された. 本稿では, 萎縮性胃炎, 腸上皮化生など, 日本と欧米の考え方の違いを交えガイドラインを概説する. 「はじめに」 ヘリコバクター・ピロリ(以下ピロリ)は胃粘膜に炎症を起こし, 炎症を起こした胃粘膜は長期経過で萎縮性胃炎へと進展し, やがて腸上皮化生を伴うようになり, 胃癌が発生する. 古くから萎縮性胃炎が胃癌, 特に分化型胃癌の発生母地であることはよく知られており, 日本では日々の内視鏡検査時に木村・竹本分類1)を用い萎縮の程度を評価し, 胃癌のリスクを選別し, 診療に反映している. 一方, 胃癌の発生率が高い日本では, 萎縮性胃炎の有無に関わりなく胃エックス線あるいは上部消化管内視鏡検査による経年的な胃癌検診が行われてきた.
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