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座談会(Round Table Discussion)

胃癌と大腸癌の発癌機序をめぐって

浅香正博千葉勉牛島俊和藤盛孝博

THE GI FOREFRONT Vol.8 No.1, 45-58, 2012

「1 胃癌と大腸癌に関わる最近の知見」「浅香」今回は胃癌と大腸癌の原因や発癌機序の相違および癌細胞の特徴などについて座談会を行います. 最初に胃癌と大腸癌の現状について簡単に説明させていただきます. 人の体は約60兆個の細胞からなっており, 毎日約1%(約6,000億個)の細胞が死滅しています. この死滅分については細胞分裂により毎日補充され恒常性が保持されていますが, DNAを完璧にコピーしなければならないにもかかわらず稀にコピーミスが生じて突然変異が現れることがあります. 一般的にこの遺伝子の異常が癌の原因とされており, コピーミスを起こしやすくするものに喫煙・飲酒・老化などが指摘されています. 2009年のデータによれば, わが国の癌死亡者数は約34万4千人にのぼり, 内訳としては肺癌20%に続き, 胃15%, 大腸12%(結腸8・直腸4), 肝臓10%, 膵臓8%, 胆嚢・胆管5%, 食道3%と消化器癌が53%を占めています.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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