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特集 わが国のGERDにおける諸問題

GERDの長期経過

山下博司蘆田潔

THE GI FOREFRONT Vol.8 No.1, 33-35, 2012

GERDは寛解・再燃を繰り返す良性疾患であり, 長期経過を考慮した治療戦略が必要である. わが国におけるGERDの自然史における報告では, 健常者またはNERD患者からREへの進行は少なく, 進行したとしても軽症に留まることが大半である. 維持療法としてポロトンポンプ阻害薬(PPI)が第1選択として推奨されているが, PPI長期内服による影響について欧米より報告が集積されつつあり, わが国においても考慮すべき課題である. 「はじめに」胃食道逆流症(GERD)は食道への胃酸曝露が主たる要因であるが, 酸逆流の原因は食道裂孔ヘルニア, 一過性下部食道括約筋弛緩などによる逆流防止機構の破綻した状態が考えられている1). わが国でのGERDの有病率は図1に示すように1990年代後半より上昇してきており2), その要因としてH.pylori感染率の低下, 胃粘膜萎縮の減少, 食の欧米化による肥満, 高齢化などが挙げられる.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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