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特集 わが国のGERDにおける諸問題

巻頭言

浅香正博

THE GI FOREFRONT Vol.8 No.1, 11-11, 2012

逆流性食道炎の病因論についての研究は, それぞれの時代に開発された診断検査技術を反映しながら発展してきた. すなわち, 食道バリウム検査が主な診断法であった時代には, 食道裂孔ヘルニアが逆流性食道炎の重要な発生要因として考えられていた. また, 食道内視鏡の性能の著しい向上により食道粘膜の精細な観察が可能となると, 食道粘膜の炎症所見が重要とみなされ, 逆流性食道炎の研究は内視鏡が主体となって行われるようになった. その後, 食道内圧測定検査が可能になると, 食道裂孔ヘルニア自体より下部食道括約筋(LES)圧の低下が逆流性食道炎発症の大きな原因と考えられるようになった. さらに, 24時間胃・食道内pHモニタリング法の確立により胃・食道逆流の存在と胃酸の重要性が明らかになった. 近年では, LES圧の一過性弛緩(TLESR)によって誘発される胃酸の食道内逆流が重要な因子であることが判明してきた. これらの研究の積み重ねによって, 逆流性食道炎の診断を内視鏡のみに頼っては多くの症例を見逃しかねない危険性があることが明らかになってきた.

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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