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特集 運動とアンチエイジング

運動による糖尿病予防・治療効果

石黒創曽根博仁

アンチ・エイジング医学 Vol.17 No.5, 16-20, 2021

厚生労働省による「令和元年度国民健康・栄養調査」では,わが国で糖尿病が強く疑われる成人は1,000万人にも上り,20歳以上の人口の約14%にも相当する。また糖尿病と密接にかかわる肥満も増加しており,BMIが25kg/m2以上の者の割合は男性の約33%,女性の約22%を占める。これは世界的にも同様で,2040年頃までには,世界の成人糖尿病患者は6億人を超すと推定1)されており,「パンデミック」ともいえる状況が続いている。
糖尿病の治療は,食事療法,運動療法,薬物療法が3つの柱である。なかでも,食事療法および運動療法を遵守した上で,それでもコントロールが不良の場合には,病態にあった薬物治療を開始する,というのが本来の流れである。しかしながら,実際の診療の場では,栄養指導は栄養士に依頼することが多く,診察室では薬物療法に重きが置かれがちになり,運動療法に関してはおざなりになりがちであると思われる。
本稿では,運動療法による糖尿病の予防効果・治療効果を,さまざまなエビデンスを用いながら概説する。日々の診療の一助となれば幸甚である。
「KEY WORDS」2型糖尿病,糖尿病の予防,糖尿病の治療,有酸素運動,レジスタンス運動

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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