加齢に伴って腎臓の機能単位であるネフロンの数が減少する。60〜70歳になると,20歳の頃の半分近くに減ってしまう1)。その原因は不明であり,老化現象の一環と考えられている。さらに腎障害をきたす疾患(糖尿病や高血圧など)が加わると,ネフロン数の減少が加速し,慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)として認識されるようになる(図1)。したがって,高血圧や糖尿病の治療の徹底はCKDの進行抑制の基本であるが,ネフロン数の減少の普遍的な原因である「腎臓の老化」を抑制する方法は確立されていない。そのため,近年の糖尿病や高血圧の治療の飛躍的な進歩にもかかわらず,高齢化社会の到来とともにCKD患者数は急増している。この事実は,高血圧や糖尿病の治療を徹底するだけではなく,ネフロン数減少の普遍的な原因である「腎臓の老化」を抑制する方法の確立が急務であることを示している。
「KEY WORDS」FGF23,phosphate,calciprotein particles(CPP),chronic kidney disease(CKD),aging kidney