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特集 腎臓と老化

腎臓と老化:ミトコンドリアから

阿部高明

アンチ・エイジング医学 Vol.17 No.4, 12-17, 2021

世界でもっとも急速に高齢化が進むわが国においては,健康寿命を延ばし平均寿命と健康寿命の差を縮めることが,個人の生活の質(QOL)の低下を防ぐのみならず保障費の削減につながり社会的負担を軽減する観点からも重要である。われわれは加齢とともに難聴,筋力低下,認知症,動脈硬化,癌になっていくと考えられる。特に高齢者では,筋肉量の減少(サルコペニア)により,歩行速度が低下し握力が衰える虚弱高齢者(フレイル)に陥りやすく,創傷治癒,感染,褥瘡,死亡リスクが高くなる。また難聴やうつ病,癌によってQOLが低下するため,それらの発症と進展抑制が人類共通の解決すべき問題である。なおフレイルは,治療や予防で症状が進まない可能性があり,その改善により要介護期間の減少やQOLの向上,ひいては社会保障費用の削減が期待される(図1)。
「KEY WORDS」ミトコンドリア,腸内細菌,ATP,酸化ストレス

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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