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特集 Young at HEART ~若々しい心臓であり続けるために~

心不全治療としてのアンチエイジングの意義

清水逸平吉田陽子南野徹

アンチ・エイジング医学 Vol.17 No.3, 11-15, 2021

老化のプロセス自体は病的ではなく,生理的な生命現象である。加齢に伴いゲノムの不安定性,テロメア短縮,細胞老化,エピジェネティックな変化,タンパク質恒常性異常,栄養関連シグナルの変容,ミトコンドリア機能不全,幹細胞の枯渇,細胞間相互作用の異常が生じる1)。これらの老化に伴う負の側面が複雑かつ同時的に関連し進行することで,全身の機能的・構造的リモデリングが進行し,心不全や動脈硬化性疾患,肥満や糖尿病といった加齢関連疾患の病態が発症・進展する。加齢及び加齢性疾患の分子機序は複雑に関連するため単純化することは困難である。しかしながら,一連のプロセスにおいて細胞老化が中心的な病態基盤を形成することが明らかになりつつある。癌化していない細胞は無限に分裂することはできず,ある程度分裂した後に細胞老化という状態に陥りこれを複製老化(replicative senescence)という。細胞は活性酸素などのさまざまなストレスにさらされることでも細胞老化という状態に陥りこれを早期細胞老化(premature senescence)という。
「KEY WORDS」心不全,細胞老化,選択的老化細胞除去

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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