過剰な飲酒により健康が妨げられる,いわゆる“酒毒”で亡くなった人間の記述は古典の時代から数多くあり,少なくともそのうち一部は重症アルコール肝炎や肝硬変であったに違いない。これだけ古くから広く知られてきた疾病であるにも関わらず,慢性的なアルコール多飲によって生じる一連の肝疾患の概念が実はまだ十分に確立されていない,と聞くと意外に思う人もいるかもしれない。疾患概念の変遷は時代的社会背景および病態機序の理解の進歩の影響を強く受けており,近年では欧米から“アルコール関連肝疾患(alcohol-associated/related liver disease)”としてこの病態を再定義する動きが生じている。この稿では,アルコール関連肝疾患の概念とその病態に関する最新の話題について概説する。
「KEY WORDS」アルコール性肝炎,アルコール性脂肪肝炎,PAMPs,クッパー細胞
「KEY WORDS」アルコール性肝炎,アルコール性脂肪肝炎,PAMPs,クッパー細胞