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特別企画 特集 緊急“新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策”

ウイルス感染症に対する漢方治療

渡辺賢治

アンチ・エイジング医学 Vol.16 No.3, 63-67, 2020

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るうなかで,中国・武漢では,伝統医療が第一線で使われてきた事実が,新聞報道で報じられるようになってきたがなかには過大評価だとする批判の記事もある。しかしながら,中国のみならず,韓国・台湾でもいち早くCOVID-19に対するガイドラインを発表した1)
日本漢方が拠り所とする紀元後2世紀末に書かれた『傷寒論』は,当時流行した疫病で著者 張仲景の親族の約半数が死亡する,というなかで工夫された治療法が記載された書である。
人類の歴史は疫病との闘いの歴史でもあり,東洋でもそのたびに新たな治療法が発達してきた。
今回のCOVID-19は約100年前のスペイン風邪と比較されるが,当時も漢方医たちが治療に工夫して効果を挙げた記録が残されている2)3)
漢方治療は複合生薬で種々の効果の総合的作用であること,およびウイルス遺伝子またはタンパクに働くというよりも,生体防御能を駆使してウイルス増殖を抑えるため,今後も流行が懸念されるウイルス性新興感染症に対して,ワクチンまたは有効な薬剤が開発されるまでの間,感染爆発に対しての一定の抑止力を期待して,漢方治療を行うことは非常に理に適っている。
本稿では,COVID-19感染症に対する臨床経験を述べさせていただき,漢方薬の薬効薬理に関するレビューを記述したい。
「KEY WORDS」漢方,COVID-19,予防,抗ウイルス効果,生体防御能

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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