<< 一覧に戻る

エイジングサイエンス

Wntシグナル活性化転写因子FOXB2は前立腺癌の内分泌様分化を促進する/間質のインテグリンα11はPDGF受容体βシグナルを制御することで乳癌の進展を促進する

吉田剛

アンチ・エイジング医学 Vol.16 No.2, 84-87, 2020

個体発生・老化・腫瘍形成において,古典的Wntシグナルでは,WNTリガンドが7回膜貫通型受容体タンパク質であるFrizzled受容体に結合するとβカテニンを介して標的遺伝子の発現を制御することが広く知られている。多数のWNTリガンドのなかでもWNT7Bとその共受容体RECK,GPR124の発現は正常組織では発生段階の脳に限局している一方で,前立腺癌を含む多数の癌種で発現が亢進している。先行研究によってマウスのWNT7BはPAX6,FOXA2,GATA-6などの転写因子で発現が誘導され,前立腺癌細胞ではアンドロゲン受容体の下流で発現量が増加することが証明されている。
本論文では,WNT7Bと同様に発現臓器が発達期の脳組織に限局され前立腺癌で発現が増強するフォークヘッド転写因子FOXB2に着目して,前立腺癌の予後不良因子である内分泌様分化との関連性について検証を行った。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

一覧に戻る