アンチエイジング・ゲノム!
(5)エピゲノムとアンチエイジング エピジェネティック時計と寿命
掲載誌
アンチ・エイジング医学
Vol.16 No.2 60-62,
2020
著者名
山田 秀和
記事体裁
連載
/
抄録
疾患領域
皮膚疾患
/
アンチエイジング
診療科目
皮膚科
媒体
アンチ・エイジング医学
DNAの塩基配列を変えないで,遺伝子の働きを決めるしくみをエピジェネティクスと呼び,その情報の集まりをエピゲノムという。有名な例に,クローンの三毛猫の毛の模様は,DNAが同じでもいろいろな模様の見た目ができる例(三毛猫[メス]の茶と黒を決定する遺伝子はX染色体にあり,エピゲノムで不活性化が起こり模様が決まる)が知られている。表現形の進化という点では,ガラパゴス諸島のフィンチの嘴の形が,干ばつと雨のサイクルによる食料の変化に対応している研究や,英国では産業革命で煤けていた木の色に似ている蛾の色が,大気汚染防止法により木の色が元に戻ると蛾の色も変化する研究が有名である。これらも,数十年,あるいは200年程度でDNA配列の進化が起こるよりも,エピジェネティクスの機序が関係していると考えられている。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。