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総説

血圧・老化・遺伝子から考える健康寿命の延伸

勝谷友宏

アンチ・エイジング医学 Vol.16 No.2, 52-58, 2020

内閣府が毎年発表する高齢社会白書1)によると,2019年度のわが国の高齢化率は28.1%,2065年には38.4%に達するとされる。最新の白書の1頁目には,『コラム「高齢者」とは』の一項が新たに挿入されており,65~74歳の前期高齢者では心身の健康が保たれており,活発な社会活動が可能な人が大半を占めているとする日本老年学会・日本老年医学会「高齢者に関する定義検討ワーキンググループ 報告書」の結果が示され,75歳以上を高齢者とする新たな定義にも言及されている。しかし,この75歳以上の後期高齢者の割合も2065年には25.5%に達するとされており,高齢化が進むことは紛れもない現実である。
この伸び続ける平均寿命とともに健康寿命も延伸が続いているが,寿命と健康寿命の差は意外に縮まっていないことが,この15年間の推移をみても明らかである(図1)。私のような市井の開業医にとって,患者のニーズの最上位は「健康で長生き」をすることであり,人様の手を借りてでも長生きをする,いわゆる要介護状態だけは勘弁してほしいという要望を毎日のように耳にしている。
本稿では,私がこれまで取り組んできた研究の内容を紹介するとともに,健康寿命延伸の鍵を,血圧・老化・遺伝子の3つのキーワードから考えてみたい。
「KEY WORDS」健康長寿,高血圧,早老症,ゲノム,適塩化

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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