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特集 抗加齢医学とプロバイオティクス

口腔内環境と乳酸菌

二川浩樹田地豪

アンチ・エイジング医学 Vol.16 No.2, 44-51, 2020

筆者の専門は,もともと歯科補綴学であり,デンチャープラークすなわち義歯表面に形成される微生物バイオフィルムの研究を行ってきた。口腔内には700~800種類の微生物が存在するとされており,プラーク1g中には約10¹¹の微生物が存在するとされている。このため口腔内では,う蝕,歯周病,口腔カンジダ症のようにさまざまな微生物によって感染性の疾患が引き起こされる1)。さらに,口腔内に堆積したプラーク微生物がリザーバーとなり,その誤嚥による誤嚥性肺炎や,抜歯時の血流内への移行による菌血症,さらには血栓などの原因になることも指摘されている。口腔内への微生物バイオフィルムの形成のメカニズムについて研究を行うなかで,微生物のバイオフィルム形成には,①口腔内の微生物叢の微生物同士の相互作用,②歯や修復物などの被着体の組成,あるいは表面の性質や性状,および③体液・唾液などの生体成分が深く関わっていることを明らかにしてきた。
この一方で,日常臨床を行う上で,障害者の方々はセルフコントロールが十分にできないため「歯を治療しても治療しても(十分なプラークコントロールができないために),どんどん歯が悪くなっていく」という悩みをもっていた。そのようななかで,バイオフィルム形成に関わる因子を逆に利用して口腔内のバイオフィルムをコントロールできないだろうかと考えていた。ただ,一般的に口腔内微生物のDoubling Timeは約1時間とされ,10時間で1,000倍,12時間で4,000倍にも増殖し,バイオフィルムが形成されていくため,持続的に口腔内の微生物を制御する必要があり,このため,①微生物同士の相互作用を利用することで菌の増殖を抑制することや,②歯や修復物などの被着体の表面を利用してバイオフィルム形成の足がかりをなくすことを考えた2)
「KEY WORDS」口腔内フローラ,歯周病,う蝕,プロバイオティクス

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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