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エイジングサイエンス

早老症マウスにおける糞便微生物移植による健康寿命と個体寿命の延長

梅井正彦赤澤宏

アンチ・エイジング医学 Vol.16 No.1, 78-80, 2020

腸内細菌叢(腸マイクロバイオーム)の病態生理学的意義は近年大幅に拡大しており,現在では蠕虫からヒトまで保存された代謝および免疫機能を有していることが知られている。哺乳類においては食物プロセスや,摂食経路の活性化,病原体に対する保護,そしてビタミン,短鎖脂肪酸,二次胆汁酸などの代謝産物の生成に関与している。また,腸内細菌叢はシグナル経路を介して遠隔臓器に対して作用することにより宿主の生理機能の維持にも寄与している。腸内細菌叢が変化することによって,肥満,2型糖尿病,心血管疾患,非アルコール性肝疾患,悪性腫瘍や抗腫瘍療法への反応などにも変化を及ぼすことが明らかとなってきた。今まで高齢者を対象とした腸内細菌叢解析は数多く施行されているが,早老症をターゲットとした解析は行われていない。そこで著者らは,ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(Hutchinson-Gilford Progeria Syndrome:HGPS)のモデルマウス2種,HGPS患者,ネスター・ギラーモ早老症(Néstor-Guillermo Progeria Syndrome:NGPS)患者,および健常者,百寿者を対象とした腸内細菌叢解析を行った。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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