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総説

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病態と診断・治療

池嶋健一

アンチ・エイジング医学 Vol.16 No.1, 58-66, 2020

C型・B型肝炎の抗ウイルス療法が目覚ましく進歩し,特に直接型抗ウイルス薬(direct acting antivirals:DAAs)の登場でHCVの排除がきわめて高率に達成できるようになった現在,新たな視点から肝臓の代謝病態への関心が高まってきており,肝臓病学は大きな転換点を迎えている。代謝関連の肝臓病の代表格として,非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD),なかでも細胞障害から炎症・線維化の進展を生じる非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)が注目されている。NAFLD/NASHは,本来アルコール関連肝障害(alcohol-related liver disease:ALD)との対比から提唱された概念ではあるが,その大半がメタボリックシンドロームの肝病態としてインスリン抵抗性を基盤に形成される。わが国でも,脂肪肝は健診受診者の約3割に認められ,もっとも有病率の高い慢性肝疾患となっている。本論では,NAFLD/NASHに関する現状の理解と今後の展望について概説したい。
「KEY WORDS」非アルコール性脂肪肝炎(NASH),メタボリックシンドローム,脂肪毒性,自然免疫,腸内細菌叢

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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