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アンチエイジング・ゲノム!

(3)ゲノム情報は健康作りやアンチエイジングに役立つか?

八谷剛史

アンチ・エイジング医学 Vol.15 No.6, 66-68, 2019

ヒトゲノムが2003年に解読されてから約15年が経過し,今は個人ゲノム時代に突入しました。世界初のヒトゲノムを決定するための費用は約30億ドルで,ロンドンにある最も高価な邸宅が買える値段だったそうです。以降,ヒトゲノムの測定に必要な費用は急速に安くなり,2019年時点で約1,000ドルです。
個人ゲノム時代においては,個々人の遺伝的な違いを解釈し,疾病予防や健康作り,アンチエイジングに役立てることが期待されています。しかしながら,ゲノム情報=デオキシリボ核酸(DNA)配列を安価に測定できる現在においても,ゲノム情報の意味を解釈する=Deciphering Nature’s Alphabet(DNA)は容易ではありません。本稿では,がんや循環器疾患などの多因子疾患について,ゲノム研究からわかってきたことを紹介したいと思います。
多因子疾患は,遺伝要因と環境要因の両方が発症に寄与する病気です。多因子疾患の発症と関連する遺伝子領域を探索すると,いくつかの例外を除いて,疾病発症に強い影響を及ぼす遺伝子領域はみつかりません。一方で,弱い影響を及ぼす遺伝子領域が疾病ごとに数十〜数百個もみつかります。多数の遺伝子領域の弱い影響が積み重なって,疾病を発症しやすいか・しにくいかの個人差を決めているとわかってきました。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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