2015年の厚生労働省発表によれば,日本における高齢者総数は2,874万名であり,そのうち知的健常者は72%であるが,認知症予備軍の軽度認知機能障害(mild cognitive impairment:MCI)者は13%,明らかな認知症患者は15%を占めている。したがって,日本社会の健全な発展のためには,知的健常者からMCIへの移行(認知症一次予防),MCIから本格的認知症への移行(認知症二次予防),認知症患者の増悪(認知症三次予防)の3ステップでの予防対策が医学的にも行政上も重要な課題となっている(図1)。
翌2016年に発表した岡山大学脳神経内科認知症専門外来での病型頻度では,認知症患者1,554名のうち,アルツハイマー型認知症(Alzheimer's disease:AD)が62%と第1位であり,次いでMCI 12%,血管性認知症9%,パーキンソン病認知症,前頭側頭葉型認知症,レビー小体型認知症が各3%と続いており,超高齢化に伴って認知症全体に占めるAD患者の割合も急増している(図2)1)。実際,この1,554名中の後期高齢者(≧75歳)は全体の72.5%を占め,このなかではADは69%,次いでMCIが11%と,実にADおよびその予備軍で全体の80%を占めているという状況である。
「KEY WORDS」アンチエイジング,認知症予防,アルツハイマー病,認知症予防