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特集 時間栄養学とアンチエイジング

加齢性疾患に対する時間栄養・時間運動学の活用

高橋将記

アンチ・エイジング医学 Vol.15 No.6, 44-49, 2019

加齢に伴い,糖尿病や高血圧などの生活習慣病に加え,サルコペニア,骨粗鬆症,抑うつなどの加齢性疾患のリスクが高まる。近年,体内時計の乱れがこれらの疾患の発症に関与することが指摘されており,体内時計を良好に保つことが生活習慣病ならびに加齢性疾患の発症,重症化予防の観点からも重要と考えられる。また体内時計は加齢に伴い変化し,この変化が加齢性疾患の進展に寄与することが示唆されていることから,栄養・食生活および運動・身体活動の観点から,体内時計に影響を及ぼす因子を探索する時間栄養・時間運動学的視点が必要となる。体内時計と生活習慣との関連から,夜食や夜型生活が肥満や糖尿病リスクを高めることが示されている。また夕食時の過食は,急激な血糖値上昇を引き起こし,糖尿病発症のリスク因子となることが明らかになっている。本稿では,特に体内時計の加齢変化に着目し,高齢者における糖尿病ならびに加齢性疾患に対して,時間栄養学がどのように活用できるかについて紹介する。また,体内時計に影響を及ぼす運動・身体活動の知見を紹介し,加齢性疾患の重症化予防に向けた時間運動学の可能性についても述べる。
「KEY WORDS」加齢,生体リズム,糖尿病,サルコペニア,身体活動

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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