従来より,「高食塩を摂取した際には口渇が生じ,飲水量が増加する」といわれてきた。実際に,浮腫を認める体液過剰の心不全患者や腎不全患者に対しては,食塩摂取制限が推奨されている。しかしながら,健常者を対象とした長期間に及ぶナトリウムイオン(Na⁺)・体液バランス研究では,「高食塩摂取時に飲水量は増加せず,むしろ減少していた」ことが明らかとなった。また,「健常者であっても生体内Na⁺・体液バランスは常に一定ではない」ことなど,これまでの常識を覆す知見が次々と明らかにされている。本稿では,高食塩食が生体に与える影響,特に,浸透圧物質の一つである尿素の代謝に与える影響や意義について,最新の知見を述べる。
「KEY WORDS」食塩,水,尿素,肝臓,エネルギー代謝