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特集 メタボローム解析とアンチエイジング

健康食品スクアレンの機能性と品質管理

仲川清隆清水直紀

アンチ・エイジング医学 Vol.15 No.5, 48-52, 2019

近年の健康食品市場は拡大傾向である。これまでヘルスクレームを許されてきた「特定保健用食品」と「栄養機能食品」に加え,2015年には事業者の責任のもとヘルスクレームが可能となった「機能性表示食品」が加わり,これらの市場は8,000億円規模に達した1)
機能性表示食品に関しては,その申請数は2018年度末の時点ですでに2,000件を超え2),市場規模も2,000億円にまで拡大するなど1),健康食品市場にかなりの影響を与えているといってよいであろう。従来は「いわゆる健康食品」で,ヘルスクレームが許されていなかったサプリメントを含む健康食品の一部が機能性表示食品としての申請が許可されたことで,そして必ずしも臨床治験など多くの研究費を伴わずとも申請が行えることも相まって,2,000件もの申請数となり,それらの一部が企業の収益を高めていることも想像される。
もちろん,こうした特定保健用食品や栄養機能食品,そして機能性表示食品の仕組みが,何年か後には国民の健康維持・増進を下支えして,結果として医療費削減につながるかどうかについては今後の動向次第であり,さらなる検証が必要であろう。また今後は,消費者の手元に届いた製品の効能・効果はもとより,その品質の維持管理も含めて,より一層高いレベルのものが求められると考える。
こうしたなかで,本稿で紹介するスクアレンは,深海鮫の肝油やオリーブ油などに多く含まれる油状の化合物で(図1),ヘミングウェイの『老人と海』でも日常的に愛飲されているように,古くから民間で利用されてきた健康機能成分である。現在,市販されているスクアレン健康食品の多くは,深海鮫肝油から抽出・精製されている3)。その市場はわが国にとどまらず,世界的に需要が高まりつつあり,2015年で$110億だった市場規模は,2022年には$214億にまで拡大することが予想されている4)。スクアレンは,前述の特定保健用食品や栄養機能食品,機能性表示食品といった特定のカテゴリーにはまだ含まれていないものの,その後述する機能性には多くの注目が集まり,特定保健用食品および機能性表示食品としての展開が期待されている。加えて,健康食品市場以外での活用も注目されており,例えばすでに米国ではインフルエンザのアジュバントとして利用されていたり,多くの国々では化粧品に使われるなど活発に利用されている5)
そこで本稿では,スクアレンの健康機能性を概説し,加えてスクアレンはその性状から製品の保管状況などによっては性質が変わり得る可能性があることから,このことに関する筆者らの知見を紹介したい。
「KEY WORDS」スクアレン,健康食品,脂質酸化反応,抗酸化物質

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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