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特集 メタボローム解析とアンチエイジング

特集にあたって

新村健佐野元昭

アンチ・エイジング医学 Vol.15 No.5, 19, 2019

言わずもがな代謝と老化は密接に関係している。有力な老化学説の一つ,代謝調節説は,細胞の代謝回転が細胞分裂速度に影響して老化や寿命を支配するという学説である。動物の体重当たりの酸素消費量と寿命との関係を調べると,それぞれの対数をとった数値との間には負の相関が認められる。さらに,カロリー制限が寿命を延長する事実は,この学説を支持すると解釈されている。よって,細胞,臓器,生体の代謝を解析することは,老化とさまざまな老化関連疾患を理解し,その制御法を開発する上での極めて有力な手段と考えられる。
30年近く前,私は心臓のエネルギー代謝動態を研究していた。冷却したWollenbergerクランプを用いて心臓を素早く凍結し,液体窒素内で粉砕後,6%過塩素酸を用いて代謝産物を抽出した。酵素学的反応による吸光度変化を計測しATP,クレアチン燐酸,乳酸含量を計算した。分離技術,質量分析技術の進歩に伴い確立されたメタボローム解析は,代謝研究にparadigm shiftを起こし,今後もますます盛んになっていく研究分野であろう。
本特集では,各分野で活躍するメタボロミクス研究の第一人者の方々に最新の研究内容を解説いただいた。是非,生化学の教科書を片手に,熟読いただければと願っている。

※記事の内容は雑誌掲載時のものです。

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